除雪中の事故

雪害(大雪災害)

除雪作業中の事故は、自宅など建物の屋根雪下ろしや雪かき等の作業中に多く、屋根やハシゴからの転落が大部分を占めています。
屋根からの転落事故を防ぐためにも、滑りにくい靴、安全帯・命綱、ヘルメットを着用しするようにしましょう。

除雪中の事故は、高齢者や一人での作業中に多く発生しています。
何かあった時に対応できるよう作業は複数人で行うようにしましょう。
作業が難しい場合には、無理をせず除雪業者などに依頼しましょう。
雪下ろし代行料金は、地域によっても違いますし、面積によっても変わります。
お住まいの市町村によっては、「高齢者世帯等に対する除雪費支援制度」がありますので、お住いの自治体(市町村役場)に問い合わせてみましょう。

ここでは、国土交通省による「雪下ろし安全10箇条」についてご紹介いたします。

雪下ろし安全10箇条(国土交通省)

安全な装備で行う(最重要!!)

  • 安全な装備は、屋根からの転落などの事故を未然に防ぎます。
  • 安全帯は、腰全体を支えるハーネス型や体全体を支えるフルハーネス型を使用。
  • 命綱は、ザイルロープなど丈夫なものを屋根の上で止まる長さで正しく結ぶ。
  • 命綱の一端は、アンカー(無い場合は雪下ろしをする屋根の反対側の柱や固定物)にしっかり固定する。
  • ヘルメットは、あごひもを締め、長靴は、滑りにくいものを使用し、動きやすい服装で作業する。
  • これらの装備は、ホームセンターや登山キャンプ用品店などで購入できます。

 安全帯について

胴ベルトは
 ・ 胴ベルト型
 ・ シットハーネス型
 ・ フルハーネス型
の3種類があります。

フルハーネス型は、高所作業をする作業者が墜落・転落時に人体を保持する墜落制止用器具です。
2019年2月の法改正により墜落制止用器具は、「フルハーネス型」を使用することが原則となります。
また、6.75mを超える高さではフルハーネス型を使用しなければなりません。

ハーネスタイプだと骨盤でしっかりと固定されます。
万が一宙づりになっても体への負荷が軽減されます。

登山用品店などで5千円~1.5万円程度で購入できます。

※ ザイルロープは屋根の上で止まる長さ

もっとも重要なのが、ロープの長さを正しく調節することです。
屋根の端からはみださない長さ(宙づりにならない長さ)に調節しましょう。

※ ロープは頑丈な場所にしっかり固定する

命綱を結びつける場所は、命綱の一端を固定するために、住宅の屋根等に固定された金具や設備のことです。
アンカーが無い場合は、建物の構造につながっているしっかりした柱とか、しっかりとした手すりなどを利用しましょう。
この時も、ロープの長さはしっかり調整しましょう。

また、命綱固定アンカーの設置にかかる補助金もありますので、お住いの市町村へお問い合わせください。

はしごは固定する

  • はしごが転倒することがあるため、必ずしっかり固定する
  • 足元をしっかり固め、ロープや器具を使用。
  • はしごは、斜めに立てかけず、屋根に対して決められた角度でまっすぐ立てる。
  • はしごの長さは、軒先から少し高くかける。
  • はしごの昇り降りは注意し、はしごから屋根に移動するときは特に注意
  • はしごの上で雪庇(せっぴ)を落とすなどの作業は危険なため、絶対にやめましょう。

作業は2人以上で行う

  • 1人での作業は、事故が発生した際に、発見が遅れる可能性がある。
  • 発見が遅れると重大な事故につながる可能性が高くなる。
  • 家族や親戚と一緒に複数人で除雪作業を行う
  • 近所の方や地域コミュニティと協力して作業を行う共助による除雪活動も重要。

※ 1人では行わず、誰かに援助を依頼しましょう

雪下ろしは危険を伴う作業ですので、万が一の事を考え、決して1人では行わず、家族や親戚、近所の方などと一緒に行いましょう。

足場の確認を行う

  • 屋根の雪止めの位置を確認してから作業を行う。
  • 落雪に巻き込まれないように、屋根の上から下ろす
  • 滑りにくくするよう、雪は少し残して作業する。
  • 晴れていて気温か高い日は、滑りやすくなるため、特に注意。
  • 水路等に転落する事故も増えているため注意。

※ 足場面積を確認する

物置や車庫は、屋根面積が狭いので、足を踏み外して転落する危険性が非常に高くなります。
油断せず十分な注意が必要です。

雪下ろしのときは周りに雪を

  • 屋根から転落した際に、地面、アスファルト、コンクリート等に強打すると、被害が大きくなる可能性がある。
  • 落下した箇所に積雪があることで被害を軽減することができる場合がある。
  • 屋根の雪下ろしを行う場合は、雪下ろし後に住宅周りの除雪を行う。

屋根から雪が落ちてこないか注意する

  • 屋根から雪が落ちてくる可能性があるため、住宅の周りで除雪する際に軒下では注意
  • 屋根に雪が積もって時間が経つと、氷のように堅くなり、直撃すると非常に危険。
  • 新雪や晴れて暖かい日のゆるくなった雪は特に注意。
  • 屋根雪を人力によらず落下させる落雪式住宅の場合は持に注意。

※ 落雪式住宅

落雪式では、屋根に上がらなくてもよいことが最大のメリットです。
雪下ろし時の転落の可能性がない雪国の建築様式の一つといえます。
自然落下で雪が屋根を滑り落ちますので、落雪に注意が必要です。

高気密住宅で生活熱が屋根まで伝わらず、数十センチ積もってから一気に落ち始めて、落雪時に建物が大きく揺れるという現象も起こります。
ある程度の耐雪能力の確保と、熱による落雪誘発処理をあわせて検討したほうが良いでしょう。
敷地に関しても滑り落ちた雪が、隣接住宅とのトラブルとならないよう、一定以上の距離を確保しましょう。
概ね、軒下から境界まで屋根の長さ分が必要であるといわれていますので、十分な敷地の余裕が必要です。

雪下ろしの費用と労力は減りますが、落雪した二次雪の処理は必要です。

※ 屋根に上がるリスク

落雪式住宅では、屋根に上がっての雪下ろしの必要はありませんので、雪下ろしをしたい気持ちと、命をかけて屋根に上がるリスクをよく考えましょう。

一般住宅では、雪荷重による変化(屋根やその他の部材の変形、襖や窓の開閉に支障がある等)が起きていない限り、雪下ろしを行う必要はありません。

平らな無落雪屋根で、屋根に熱が伝わりにくい断熱性能の高い住宅では、屋根の雪の積もる量は多くなり、雪庇などが出来やすくなります。

※ 雪下ろしに適した天候

新雪や晴れて暖かい日や、日差しの強い日は、屋根の底面が解けて大変滑りやすくなりますで、特に注意が必要です。
なるべく気温の低い時に作業を行いましょう。

風の強い日や吹雪の日は、屋根から落下する危険が高まるので、作業を延期するようにしましょう。

屋根の雪が降り積もり圧縮されると、1立方メートル当たり300kg(体重60kgの大人5人分)、一坪(3.3平米)あたり1トンもの雪が載っている状態です。

これを考えると、まめな雪下ろしは本当に大変です。

※ 雪を落とす場所の安全確認

人がいないか、立ち入る恐れはないか、壊れそうな物がないか?雪を落とす場所の安全を確認しましょう。
また、軒下での雪かたし・除雪作業は、落雪に十分注意しましょう。
子どもが軒下で遊んだりしないよう、日ごろから話をして注意を促しましょう。

※ 水路等への転落に注意

積雪で流雪溝・水路、河川が見えなくなっているかもしれませんので、転落しないよう注意しましょう。

除雪道具や安全対策用具の手入れ点検を

  • スコップやスノーダンプなどの除雪道具は、雪がつきにくくなるスプレーを使用するなど使いやすくしておく。
  • 除雪道具や安全対策用具が古くなり、壊れていないか定期的に点検しましょう。

※ 雪にあった除雪道具

除雪作業は重労働です。
できるだけ労力をかけず、楽に作業するためにも、雪の状況にあった道具を選ぶようにしましょう。

普段はほとんど積もらない地域でも、万が一の大雪で雪かきが必要なこともあります。
いざというときに困らないよう、事前の準備をしておきましょう。

(やわらかい雪)

降り始めの軽い雪には、四角で軽いスコップを。
固まった雪には、割れにくい鉄やアルミ製を。
・樹脂製スコップ
・角スコ(四角いスコップ)

(硬くなった雪・重い雪)
丸スコ(丸型スコップ)は、硬い雪に適しています。
雪の量をあまり運べないという欠点もあります。
・金属製のスコップ

(カチコチに凍った雪(氷))
硬くなった氷は、割る・はがすの作業が必要です。
・氷割、氷はぎ

(屋根に積もった雪)
屋根からのつらら落しや雪庇切り、屋根の上に乗らなくても出来る雪落とし。
スノーダンプは、屋根の雪下ろしにも最適です。
樋(トヨ)は、雪を滑らせて効率よく雪を流すことができます。
電線など、引っ掛かりや断線を気にすることなく作業ができます。
・イースラーダー
・雪庇切り・ひさしの雪落し
・つらら落し
・スノーダンプ
・樋(トヨ)

(雪の片づけ他)
・除雪機
・スノーダンプ
・離雪スプレー

除雪機の雪詰まりはエンジンを切ってから棒などで取り除く

  • 雪が詰まったときは、必ずエンジンを切ってから雪を取り除く。
  • つまりを取り除くときは、棒などを使用する。
  • 素手で取り除くのは、非常に危険なため絶対やめましょう
  • デッドマンクラッチ(安全装置)をひもで縛るなど、無効化することによる事故が増えています。絶対にやめましょう。

デッドマンクラッチ(安全装置)とは、手を離すと自動的に止まる、大切な安全装置です。

器具で固定したり、ひもで縛ったりして無効化するのはやめましょう

携帯電話を身につける

  • 事故が発生したときは、動くことができなくなることがあります。
  • 携帯電話を身につけることで、緊急時でも家族や緊急医療機関などにすぐに連絡をとることができます。

無理はしない

  • 除重作業は重労働です。体調が悪いときは、除雪作業を行わない。
  • 作業前には、準備運動を行う。
  • こまめに休憩をとりながら作業を行う。
  • 寒い屋外での重労働による発作など発症の危険性があるため無理をしない

まとめ

雪下ろし作業は、危険を伴う大変な作業です。
でもやらねばならない必要な仕事(作業)です。
一人では危険な作業も、近所の人と声をかけあってすれば安心です。
もし一人で作業する場合は、家族に「雪下ろしコール」をして、始める前と後に報告するようにしましょう。

豪雪や大寒波の影響で、慣れていない人が除雪作業をすることがあるかもしれません。
また、除雪機による事故も増えています。

雪下ろし・除雪作業は十分に気を付け、安全に作業しましょう。

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